あの海までの道

高校生の頃、友人達とよく三陸の海へ行った。
自分達の住む盛岡から一番近い海のある宮古までは100キロある。
黒く覆い被さる様な山々と、その間に流れる川とに挟まれた寂しい国道106号をバイクでひた走る。


内陸に住む自分達は、「海」という響きだけで遠い情緒と何某かの期待を感じた。あの頃はその頼りない空想を確かめに片道100キロを往復することが徒労などとは思わなかった。そして時にはそこで野宿したりもした。まったくの着の身着のままで、寝られない夜を過ごしながら海の上に瞬く星を眺めた。
あんなのも星狩りと呼べるのだろうか。